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「予想どおりに不合理」ダン・アリエリー (早川書房)

著者によると本書は,

「ふつうの経済学では,わたしたちはみんな合理的なため,日々の生活で直面するすべての選択肢について価値を計算し,最善の行動をとっているといると予想する。

しかし,わたしたちはふつうの経済理論が想定するより,はるかに合理性を欠いている。

そのうえ,わたしたちの不合理な行動はでたらめでも無分別でもない。

規則性があって,何度も繰り返してしまうため,予想もできる。

だとすれば,ふつうの経済学を修正し,未検証の心理学という状態(理由づけや,内省や,何より重要な実験による精査という検証をしていないことが多い)から抜け出すのが賢明ではないだろうか。

これこそまさに行動経済学という新しい分野であり,その小さな一端を担う本書の目指すところだ」

という目的で書かれた。

本書は非常に興味深い実験を基に,人間の予想どおりに不合理な行動が記述されているので,自分だったらどのように行動するだろうかと予想しながら読み進むことができ,ひいては,実験結果から導きだされる解決策が,これからの行動に資することが多い。

本書の構成は以下のとおり。

第1章「相対性の真相」
なぜ,あらゆるものは-そうであってはならないものまで-相対的なのか

第2章「需要と供給の誤謬」
なぜ真珠の値段は-そしてあらゆるものの値段は-定まっていないのか

第3章「ゼロコストのコスト」
なぜ何も払わないのに払い過ぎになるのか

第4章「社会規範のコスト」
なぜ楽しみでやっていたことが,報酬をもらったとたん楽しくなくなるのか

第5章「無料のクッキーの力」
無料! はいかにわたしたちの利己心に歯止めをかけるか

第6章「性的興奮の影響」
なぜ情熱はわたしたちが思っている以上に熱いのか

第7章「先延ばしの問題と自制心」
なぜ自分のしたいことを自分にさせることだできないのか

第8章「高価な所有意識」
なぜ自分の持っているものを過大評価するのか

第9章「扉をあけておく」
なぜ選択の自由のせいで本来の目的からそれてしまうのか

第10章「予測の効果」
なぜ心は予測したとおいりのものを手に入れるのか

第11章「価格の力」
なぜ1セントのアスピリンにできなことが50セントのアスピリンならできるのか

第12章「不信の輪」
なぜわたしたちはマーケティング担当者の話しを信じないのか

第13章「わたしたちの品性について その1」
なぜわたしたちは不正直なのか,そして,それについて何ができるか

第14章「わたしたちの品性について その2」
なぜ現金を扱う時のほうが正直になるのか

第15章「ビールと無料のランチ」
行動経済学とは何か,そして,無料のランチはどこにあるのか

いずれの章で実施された実験も,よく考えられておりユニークで面白く,人間の行動を理解する上で参考になるのですべて紹介したいが,なかでも興味深く読んだ,第4章「社会規範のコスト」に触れる。

ここでは,人は社会規範と市場規範という二つの別々の世界を同時に生きている。

社会規範と,例えば友達同士の頼み事のように,わたしたちの社交性や共同体の必要性と切っても切れない関係にある。

一方,市場規範には賃金,価格,賃貸料,利息といったシビアなもので,市場規範のなかにいるときは,支払った分に見合うものが手に入る。

この社会規範と市場規範を別々の路線に隔てておけば,人生はかなり順調にいくが,社会規範と市場規範が衝突するとたちまち問題が起こる。

その一例として著者があげているのは,

「数年前,全米退職者協会は複数の弁護士に声をかけ,1時間あたり30ドル程度の低価格で,困窮している退職者の相談にのってくれないかと依頼した。弁護士たちは断った。しかし,その後,全米退職者協会の責任者は素晴しいアイデアを思いついた。困窮している退職者の相談に無報酬で乗ってくれないかと依頼したのだ。すると,圧倒的多数の弁護士が引き受けると答えた」

ここから導きだされるのは,

「お金の話しが出たとき,弁護士たちは市場規範を適用したため,市場での収入に比べてこの提示金額では足りないと考えた。ところが,お金の話し抜きで頼まれると,社会規範を適用し,進んで自分の時間を割く気になった。考えのなかにいったん市場規範が入り込むと社会規範が消えてしまうのである」

この章では他にお金の代わりにプレゼントを渡す場合はどうか,企業と社員の関係は市場規範から社会規範に移りつつあること,夫婦関係における市場規範と社会規範といった内容も取り上げられている。

最後になるが,社会規範と市場規範に関連して気になることがある。

それは,教育の世界で行われようとしている児童生徒の成績を上げることを至上命令とし,学校や先生の能力を点数化し学校予算,先生の給与を決定すると政策のこと。

この政策は,本来,社会規範のなかで考えられるべき教育という世界に市場規範を持ち込む愚を成しているとしか思えない。

予想どおりに不合理

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