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「ぼくは物覚えが悪い」スザンヌ・コーキン (早川書房)

記憶は人の行動には絶対不可欠のものである。

歩き,話し,食べるとき,人は自分が過去に学習して記憶した情報に基づいて行動しているとは感じないが,実は,絶えず記憶に頼って毎日を生きている。

記憶は人が生きていくためにはなくてはならないものである。

記憶があるからこそ,人は自分の経験を振り返り,過去に学び,未来に何をすべきか考えることができる。

自分が自分であることの連続性を保証してくれるものが記憶である。

ここに,てんかん治療を目的に当時では実験的な脳手術を受け,結果,新しい記憶をつくることができなくなった,一人の男がいた。

本書はH•Mと呼ばれた,30秒しか記憶できない男の物語。

と同時に記憶に関する科学の発展の物語でもある。

様々な記憶に関する知見,例えば短期記憶と長期記憶,陳述記憶と非陳述記憶,意味記憶とエピソード記憶,標準固定説と多重痕跡説などに触れることができる。

印象深い内容が盛りだくさんの本書であるが,なかでも以下の記述に瞠目した。

「私たちは記憶に埋もれて生きるあまり,ときに現在を生きることを忘れてしまう。
私たちが経験する苦しみの多くは自分でつくり出したものであり,とりわけ過去や未来に生きることから生じる。
私たちは過去の瞬間や出来事を再現し,未来を思い描いたりして,自分で思い描いた未来の情動や不安にどっぷり浸かっている。
日常生活で直面する不安や苦しみの多くが,長期記憶や,未来の心配や予期から生じるものであることを考えると,ヘンリー(H・Mの本名)が人生の大半をほとんどストレスに煩わされずに生きた理由も見えてくる。
彼は過去の思い出にも,未来への思い入れにも邪魔されずに生きた。
長期記憶をもたずに生きるのは恐怖以外の何者でもないが,つねにいま現在を見据え,30秒という短く単純な世界を生きることがいかに開放感に満ちているか,私たちは心のどこかで知っている」

ぼくは物覚えが悪い

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