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「骨の刻印」サイモン・ベケット (ヴィレッジブックス)

「法人類学者デイヴィッド・ハンター」に続くシリーズ第二弾は,イギリス最果ての孤島での人間ドラマを描いた物語。

両足と片手だけを残して他は骨まで焼き尽くされた焼死体が発見され,主人公の法人類学者は島に渡る。

嵐が島を襲い本土との連絡も途絶える中,謎の焼死体を取り戻そうとされ,揚げ句に警備に当たっていた若き警官が殺される。

元刑事で今は島に住む男と本土から派遣された巡査部長と協力して,主人公は島の住民の協力と妨害を受けながら,この事件に隠された驚くべき狂気の謎を解明していく。

このシリーズの特徴は,まず,主人公が法人類学者ということ。

法人類学者とは法医学者が扱うことのできない腐敗の進んだ死体や,骨となった死体を鑑定する専門家であること。

このため,従来の物語では扱うことができなかった状況を話の中に持ち込むことが可能となっている。

次に,主人公の人物造形が秀逸ということ。

法人類学者といっても頭だけで事件の謎に迫ることはなく,積極的に行動すること。

そして,愛する妻と娘を亡くした過去を今なお引きずっているというキャラクタを付与されていることである。

また,本作品ではラストに驚愕の事実が解き明かされるが,北の寒村の自然描写に加えて,個性的な島民の人物描写は,物語に深みを与えており,読み応え充分な物語に仕上がっている。

骨の刻印

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