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「ピアニスト」エティエンヌ・バリリエ (アルファベータ)

ヨーロッパの音楽は普遍性を持つのか?

日本,中国,韓国といった極東の人はヨーロッパの人とおなじようにヨーロッパの音楽を演奏できるか? 

そもそもヨーロッパの人と同じようにヨーロッパの音楽を理解できるか?

著者は,この一世紀あまり,極東の人々が,ヨーロッパの音楽をヨーロッパの人以上に知り,愛し,演奏するようになった事実に衝撃を受ける。

一方,ポール・クローデルの「日本の魂へのまなざし」と題する講演で述べた『日本の寺院は何らかの既成概念を持って建てられたようには見えない。それは情景が秘める願いをあらわにし,芸術によって森の広大な影を深め,常に流れる水の声を導いている』や,武満徹の『西欧では芸術は一つの建築物のように組み立てられます。東洋人は,すでに存在しているものを出発点として,その中から創造物を生み出します』『東洋では物音と音楽は相互に入り組んでいて,どれがどちらから始まり,どれがどちらに終わるかは誰にも判らない』『西欧では時間とは理性的なもので線状をしているが,東洋ではそれは環状である』などから,かくも極東の音楽が深くヨーロッパンの音楽と異なっているのなら,どうして,西洋音楽がこれほどまでに東洋で受け入れられ,どこにでも現れ,かつ,自然な存在でいられるのか疑問に感じる。

そこで,本書では,架空の中国人の女性ピアニストのピアノ・リサイタルを聴いた二人の音楽評論家に激論を戦わすというスタイルを著者はとった。

一人は中国人の女性ピアニストは,ヨーロッパの人と同じように,いや,それ以上にヨーロッパの音楽を演奏できると主張する。

もう一人は,東洋のピアニストは,ヨーロッパ人がするように西洋音楽を理解することはできない,音楽が表現する感情を完璧なしぐさで真似たものでしかないと主張する。

果たして,皆さんはどう思われますか?

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