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好きな作家 -隆慶一郎-

隆慶一郎は1923年東京生まれ。学徒出陣で出征,中国大陸を転戦,敗戦後に復学。現在の東京創元社に入社。
1950年代後半から脚本家として本名の池田一朗で活動を開始する。
代表作は,映画「陽のあたる坂道」「にあんちゃん」,テレビドラマ「鬼平犯科帳」「ご存知遠山の金さん」など。
1984年に筆名隆慶一郎で小説「吉原御免状」を発表,亡くなる1989年までの間に未完の4作品を含め14の作品を執筆する。
お薦めは「吉原御免状」「一夢庵風流記」「捨て童子・松平忠輝」の三冊。

「吉原御免状」
これは面白かった。「本の雑誌」で隆慶一郎の本がとても素晴らしいという記事をみてすぐに購入したのが「鬼麿斬人剣」だが,それよりも数倍良かった。
主人公である松永誠一郎は当然魅力的であるが,彼を取り巻く脇役,とりわけ柳生十兵衛を斬った幻斎という老人が個性的で,この人が本当の主人公なのかもしれないというほど生き生きと描かれている。
昔に読んだ「柳生武芸帳」もそうだが,豊臣秀吉の時代から関ヶ原の戦いを経て徳川家康の時代になるという頃が登場人物の多彩さや話題の面白さからいって,チャンバラ小説に一番むいている時代である。

吉原御免状

「一夢庵風流記」
異風の姿形を好み,異様な振舞で人を驚かすのを愛することを「傾く」と言い,人生を傾くことで全うした人間を著者は「傾奇者(かぶきもの)」と称する。
戦国期の織田信長や明暦の水野十郎左衛門なども傾奇者で,彼らは一様にきらびやかに生き,一抹の悲しさと爽やかさを残してすみやかに死んでいった。
本書はその傾奇者の典型ともいえる前田慶次郎利益の型破りで魅力的な生き方を描いた長篇時代小説である。
前田慶次郎という人物は実在の人物で,加賀百万石の前田利家,関白豊臣秀吉,そして徳川家康らと同時代に生き活躍するが,とにかく愛馬松風をはじめとする個性的な脇役,多彩な登場人物,胸踊る話の連続で最後まで飽きることなく楽しめた。

一夢庵風流記

「捨て童子・松平忠輝」
柴田練三郎に五味康介そして山田風太郎に著者の隆慶一郎を戦後の伝奇時代作家ビッグ4と,巻末の解説者は称していたが,くしくも彼らの代表作品である「赤い影法師」に「柳生武芸帳」そして「伊賀忍法帳帖」を読んでいる者にとって,解説者の言説には大賛成である。
本作品で隆氏は,徳川家康の第六子として産まれながら鬼子ゆえに一旦は家康に捨てられるが,自らの人間的魅力で92歳という長寿を全うした天才児にスポットを当て,関が原の決戦から大阪冬の陣に夏の陣を経て家康が死ぬまでの時間の中で,主人公を始めとする様々に魅力的な人物を縦横無尽に活躍させている。
骨太いストーリーにスピーディーな展開,戦いの場で顕著に表れる研ぎ澄まされた描写,そして多くの個性的な登場人物などが隆氏の作品を魅力あるものにしているが,最も素晴らしいのは主人公の人物造形であろう。

捨て童子・松平忠輝上 捨て童子・松平忠輝中 捨て童子・松平忠輝下

隆慶一郎のオフィシャル・ウェブサイトはここ

「吉原御免状」1987年 長編
「鬼麿斬人剣」1987年 連作短編
「かくれさと苦界行」1987年 長編
「柳生非情剣」1988年 連作短編
「影武者徳川家康」1989年 長編
「一夢庵風流記」1989年 長編
「捨て童子 松平忠輝」1989年 長編
「柳生刺客状」1990年 短編
「駆込寺蔭始末」1990年 短編

未完
「風の呪殺陣」1990年 長編
「見知らぬ海へ」1990年 長編
「死ぬことと見つけたり」1990年 長編
「花と火の帝」1990年 長編
「かぶいて候」1990年 長編,短編,エッセイ,対談




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