「遥か南へ」ロバート・R.マキャモン(文藝春秋)
脱ホラー作家宣言後の三冊目の長篇小説で,アメリカでは1993年に発表されている。
ヴェトナム戦争の枯葉剤の後遺症に悩む妻子と別れた男は,仕事に必要なトラックをローン未返済のため銀行に押さえられるのを防ぐため話し合いに出かけるが,不運な事実が重なった結果銀行員を殺してしまう。
そこから主人公の必死ともいえる逃亡劇がスタートするわけであるが,警察とは別に賞金稼ぎの二人組みにも狙われる。
この二人組みが何ともユニークで,一人は胸からもう一本の腕生えているフリークだし,もう一人は外見がエルビス・プレスリーにそっくりな男である。
加えて,ブライト・ガールと呼ばれる民間の治療師に会うために旅を続ける顔に醜い痣がある若い女が絡むなど,個性的な登場人物の設定と自らの存在を証明せんがための彼らのものの見方,感じ方の描写が素晴らしく,500頁を超える作品であるが一気に読むことができた。
物語後半の南部の湿地帯での暑く陰惨な闘いの描写力もすごい。

ヴェトナム戦争の枯葉剤の後遺症に悩む妻子と別れた男は,仕事に必要なトラックをローン未返済のため銀行に押さえられるのを防ぐため話し合いに出かけるが,不運な事実が重なった結果銀行員を殺してしまう。
そこから主人公の必死ともいえる逃亡劇がスタートするわけであるが,警察とは別に賞金稼ぎの二人組みにも狙われる。
この二人組みが何ともユニークで,一人は胸からもう一本の腕生えているフリークだし,もう一人は外見がエルビス・プレスリーにそっくりな男である。
加えて,ブライト・ガールと呼ばれる民間の治療師に会うために旅を続ける顔に醜い痣がある若い女が絡むなど,個性的な登場人物の設定と自らの存在を証明せんがための彼らのものの見方,感じ方の描写が素晴らしく,500頁を超える作品であるが一気に読むことができた。
物語後半の南部の湿地帯での暑く陰惨な闘いの描写力もすごい。
